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ハイヤードライバーになる為にタクシー研修は必要なのか?

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なぜ、ハイヤー会社の研修に「タクシー研修」を設けているのか?

これからハイヤードライバーを目指す方からもお問い合わせを頂きましたので、自分の経験をふまえて解説したいと思います。

タクシー研修の内容とは?

タクシー研修とは、文字通り「ハイヤードライバーになる為にタクシーに乗る」研修ですが、研修内容を大きく分けると2段階あります。

1段階目はタクシーに乗る前(為)の研修、2段階目は実際にタクシーに乗っての研修です。

タクシードライバーを目指している人も同じ研修を受けますが、1段階目が終了するとデビューです。

タクシーに乗務する前の研修

タクシースクールを卒業すると、タクシーの営業所に2~3カ月間仮配属されます。

自分が勤務する会社の場合は、我々ハイヤー志望の連中とタクシー志望の方々も一緒に研修をやりました。

1段階目のタクシー乗務前の研修内容は以下の通りで、その人の能力によって多少差がありますが、10日~2週間程行われます。

タクシーの走り方

営業所には50~60万キロ位走ったタクシーのお下がり、クラウンGパケの教習車が数台あります。

クラウンGパケのタクシードライバー用の教習車、タクシーのお下がりです

研修生2~3人を乗せた教習車に、10年以上のタクシー経験を積んだ班長(普通の会社で言えば係長のような立場)が教官として乗って下さいます。

で、今日は麻布~六本木~赤坂行こうとか、渋谷~恵比寿~五反田へ行こうなどとある程度エリアを決めて走ります。

合わせて主要の施設(ホテル、病院、オフィスビル等)の場所も覚えて行きます。

エリアでタクシーがよく使うルート(ナビでは案内されない近道や裏道、お客さんがいる場所)も教えてくれます。

いつお客さんの手が挙がっても停まれる様に左側を走るとか、お客さんは交差点で乗ることが多いから、なるべく信号が青から黄色に変わりそうならゆっくり進んで先頭に停まるとか・・・流しの基本の「き」から習います。

営業の仕方

何年もタクシーに乗っていると、曜日や時間帯、季節、天気など基本データや独自の?情報や勘でお客さんのいる場所が想像できるようになってきますが、最初は全く分かりません。

朝は高級住宅地近辺のサラリーマンを乗せる為の場所、午前中は通院するお年寄りや退院する人が多い病院、昼間はビジネスマンを乗せる為の場所、夕方は買い物帰りのセレブ客を狙うなど・・・ただ走り回っても売上は上がらないので、いかに効率よくお客さんを乗せることができるかが必要で、タクシーの営業方法のイロハから丁寧に詳しく指導してくれます。

タクシーならではの地理の習得

タクシーの仕事は時間との闘いと言えます。

例えば朝出庫後は、朝の通勤客を狙う訳ですが、駅までのワンメーターのお客さんばかり乗せていると、あっという間に美味しい通勤時間帯が終わってしまいます。

なるべくワンメーターのお客さんに当たらないように、朝イチ2~3千円のお客さんを乗せられるような場所、夜は主要繁華街からのルートや抜け道を学びます。

私が研修でお世話になった営業所が大田区だったこともあり、基本的な地理は都内23区でも西側を主に学びました。

地域では麻布、赤坂、恵比寿、渋谷、目黒、五反田、青山、新宿、品川、銀座です。

ハイヤー志望の研修生は上記にプラスして、タクシーに乗るようになったら丸の内、霞ヶ関、八重洲、日本橋近辺を流すように指示されましたが、この地域はハイヤー研修でもみっちり学びますのでそんなに気合い入れなくても大丈夫です。

実際のタクシー乗務研修

主要地区の地理を覚え、運転に問題がなく班長から「OK」が出たら、いよいよ実際にひとりでタクシーに乗って乗務します。

お客さんに見える様に左腕に「新人乗務員🔰」という腕章を付けて乗務しますが、意外にこの腕章が効果的です。

「新人なんですか?頑張って下さいね!」などと、お客さんから何度も声を掛けられました。

ホントはハイヤーなんだけど...と思いながらも嬉しかったそとを覚えています。

この腕章を見るとタクシードライバーなら知ってて当たり前の場所さえ行けなくても、ナビで目的地設定しても、お客さんからはほぼ文句は言いわれません。

逆に「羽田の第2ターミナル行けますか?」なんて優しいお客さんも沢山いらっしゃいました。

もちろん初日の日に「え!◯◯◯交差点も知らないの?」なんて厳しい女性のお客さんもいらっしゃいました。

厳しいことを言われたお客さんの多くは、女性・・・しかも若い女性が多かったです。

朝方(通勤時間帯)に何度か酔っぱらっている横柄なお客さんを乗せたことがありますが、全て若い女性のお客さんでした。

あまり乗せたくなかったので、朝方は渋谷や六本木には近づかないようにしてました。

誤解のないようにお話しておきますと、若い女性のお客さんでも、チップをくれたり、目的地近くの美味しいお店を教えてくれたり、いいお客さんは沢山いらっしゃいました。

タクシー研修のメリットとデメリット

タクシー研修が「ある」ハイヤー会社が多いですが、「ない」ハイヤー会社もあります。

「ない」ハイヤー会社が存在するということは、「必要ない」または「デメリット」があると考えているからです。

タクシー研修のメリット

メリット

① 道路や施設を覚える
私がタクシー研修をやって良かったと思う一番の理由です。
半年やれば都内のだいたいの場所はナビ無しで行けるようになります。

② お客さんを乗せて走ることに慣れる
お客さんを乗せって走ったことがないと、いきなりハイヤーでVIPを乗せて緊張することになります。
タクシーで慣れておくことは大いにプラスになります。

③ タクシーの走り方がわかる
都内を走ってるとタクシーって沢山走っていて、突然停まるし運転マナーは悪いし邪魔です。でも経験して走り方が分かっていると自分の走り方や注意の仕方がまるで違ってきます。

タクシー研修のデメリット

デメリット

① 横柄な客や酔っ払い客にからまれて嫌な思いをする可能性がある
確かに私も横柄なお客さんを乗せました。お叱りを受けることもありました。
しかし、どんなサービス業でも同じようなことはあるはず・・・だと私は思います。
もちろんハイヤーでも同じだと思います。

② ハイヤーからタクシーに移籍してしまう研修生がいる
これはデメリットと言えるかどうかわかりませんが、研修でタクシーに乗ると「稼げる「お客さんが想像以上に優しい」「休みが多い」という理由でタクシーの営業所に残りたいと申請する人は意外に多いです。

タクシー研修がある会社とない会社がある

タクシー研修がある会社とない会社が存在しますので、タクシー研修に抵抗のある方はない会社を受けてみるのも、いいと思います。

大手はタクシー研修を経てハイヤーの営業所に配属になるようですが、タクシー研修の期間は2か月~1年と会社によって様々です。

日本交通は現在タクシー研修はなく、ハイヤー研修を長めに設けています。

また中堅クラスのハイヤー会社や観光ハイヤーを主に受けている会社などにはタクシー研修がない会社もあります。

まとめ

実際、ハイヤードライバー応募者で、タクシー研修をやりたくないという人は多いようです。

自分がハイヤー配属後、会社の人事から「タクシー研修は必要だと思うか?」という質問をされました。

私は「絶対に必要だと思います」と答えました。

恥ずかしい話ですが、今思えば道や施設はお客さんに教えてもらいました。

もちろん、タクシーが使う道はハイヤーで通る機会は少ないですが、予想外の事故渋滞の際などにたまたま裏道を通ると、乗せている役員さんに「こんな道よく知っているね」などと言われることがあります。

私がお世話になったハイヤー乗務歴30年以上の教官は「ホントは1年くらいタクシーに乗ってからハイヤーに配属になるといいんだけどな」とおっしゃっておりました。

やはり我々2か月間のタクシー研修では地理や施設の知識が足りないようです。

ただ、1年は長すぎると思います、理想は半年位でしょうか。

ただ、タクシーの乗務歴が長すぎると運転が完全にタクシーになってしまい、ハイヤーの運転に直すのが大変だそうです。

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