タクシーとハイヤーのドライバー募集広告はいつでも出ています。
もちろん、常に事業拡大しているのではなく、辞める人が多いからですが・・・
では「定着率が悪いのはなぜ?」なのか。
定着率が悪い4つの理由
自分が勤めているハイヤー会社では年間300人近いドライバーが辞めていますが、理由は以下の4つの場合が多いです。
辞める理由①「定年」
タクシーとハイヤードライバーが辞める理由の多くは定年、または高齢の為です。
転職時の年齢層の分布は、会社によっても違いますがだいたい以下の通りです。
ハイヤードライバーの年齢分布
60代・20%
50代・30%
40代・35%
30代・10%
20代・5%
※タクシーはもっと年齢層が上よりになります。
タクシー、ハイヤードライバーは99%が中途入社です。
60歳が定年の会社が多いので、40代半ばで転職(入社)しても10年ちょっとするとみんな定年で辞めざるを得ないのです。
ただし60歳を過ぎても、健康上問題がなければ、契約社員のような形で65歳までは雇ってもらえるケースが多いです。
タクシーとハイヤーで比べると、タクシードライバーの方が65歳を過ぎても働ける傾向にあり、70歳以上でも働いている方がいますが、ハイヤーではほぼあり得ません。
タクシー、ハイヤー会社はあの手この手で新卒や20代、30代を積極的に募集していますが、若い人材は集まらないのが現実です。
しかし、以前に比べて20代、30代のドライバーは多少ですが増えてきています。
逆に言うと40代ならまだしも、中小は別として、50代で大手のタクシー・ハイヤー会社に転職するのはかなり厳しいと言えます。
辞める理由②「稼げない」
これは人により考え方が違うので、一概には言えませんが「稼げないから辞める」という人は多いです。
入社時の広告の謳い文句と違う・・・という理由です。
「平均年収500万円」と広告にうたわれていれば、2年目位には自分も平均位は貰えるだろうと思ってしまいます。
「最高年収800万円」と広告にうたわれていれば、自分も600~700万位は貰えるんじゃないかと思ってしいます。
広告に偽りはありませんが、現実はそんなに甘くないのです。
半分以上の人は、ハイヤーだと大手で1年目は420~430万、2年目で500万が見えればいいところです。
ただし、以前の記事にも書いたように、既婚者が圧倒的に有利で、住んでいる場所によっては、いきなり500~600万級のいい(委託業務や専属の)話がくることも普通にあります。
委託業務に関する記事はコチラ
タクシーの場合はハイヤーとは少しニュアンスが違い、地理の精通度と経験値がモノを言います。
ハイヤーはタクシーに比べると他力本願的であり、逆に言うとタクシーは自分が頑張れば稼げるというシンプルな構図です。
辞める理由③「キツイ」
この業界に転職を考えている方々は、常に求人広告が出ているので「そんなにキツイのか?」と想像している人が多いようですが、キツくて辞める人は意外に少ないです。
転職時にある程度は覚悟しているからかも知れません。
40代、50代で後がなく「キツイ」などという理由で辞められないということなのかも知れません。
しかし想像以上にキツく感じる人もいます。
ハイヤーは日勤が普通ですが、会社によっては泊り勤務があり、1泊や2泊で会社に泊まったりするので、生活のリズムが崩れてきます。
夜間の睡眠時間、特にまとまった睡眠時間を取れないことも多いですから、体力的にはキツく、常に睡眠不足になりがちです。
タクシーの隔日勤務は、休憩をある程度自分の裁量で自由に取れますが、ハイヤードライバーはそうは行かないのです。
また日勤でも担当する役員さんが、会食やゴルフが多く、クルマの使用頻度の高い役員さんだと、平日の帰宅が遅くなることが多く、土日出勤の嵐になると家族との時間が取れなくなります。
私の先輩は「土日はほとんど仕事だったから子供の運動会は1度も行けたことがない」と言っています。
辞める理由④「違反や事故」
毎日運転していると、違反と事故は必ずついてまわります。
私も去年「右折禁止」の標識を見落として右折してしまい、捕まりました。
300人以上在籍する私の営業所では、毎日朝の朝礼時に「前日の違反と事故」の報告があるのですが、3日に1日は、同僚がなんらかの違反や軽度な事故(バンパーを擦った等)などが報告されています。
さすがにプロのドライバーなので、過度なスピード違反や大きな人身事故は、滅多に報告されていませんが、長期間の免許停止や大きな事故等で退職を余儀なくされるケースもあります。
まとめ
常に募集しているのは、ドライバーの慢性的な高齢化により、年齢的に辞めるドライバーが多いというのが1番の理由です。
辞める大きな理由は、以下の順に以下4つ。
①定年 ②稼げない ③ツラい ④違反と事故
2位の「稼げない」と3位の「ツラい」は担当させてもらえる仕事によって変わりますから、ある程度会社に信頼されるようになるまでガマンすれば解消することもあります。
大手のハイヤー会社なら毎月10人以上の人が辞めていきますから、順番は直ぐにまわって来るのです。