ハイヤードライバーと言えば、大手企業の役員さんのお抱えドライバーという印象が強いと思います。
我々の仕事は、お客さんの目的地までクルマを運転するという単純な仕事ですが、実際に仕事に携わってみると、シチュエーションは多岐に渡ります。
道順や地理以外にも知っていないと大恥をかいたり、中にはこんな運転もハイヤードライバーがやっているのか...と思うような仕事もあります。
「ハイヤードライバーって、実際どんな仕事をする(どんな人を乗せる)のですか?」というご質問も多いので、ハイヤードライバーの仕事を具体的にご紹介していこうと思います。
初回は定番中の定番、「大手企業の役員送迎」です。
大手企業の役員さんの定期送迎
大手企業の役員さんの朝晩の通勤の送迎をする仕事です。

出典:日本交通さま
「定期」と呼ばれ、基本的にはハイヤー会社と取引先企業とは月契約になっています。
近年、大企業の多くは、経費節減や利便性がいいという理由でハイヤーを使わずにドライバー「委託」で社有車を使うケースが多いので、定期の仕事も減って来ています。
ハイヤー委託業務の詳細はコチラ
1年もやっていると営業所で契約しているほとんどのお客様に1回は当たります。
基本的には毎日決められたルートを走行するので、比較的簡単な仕事ですから新人がやる機会が多い仕事です。
定期送迎「朝迎え」
お客様の指定された時間に、お客様の自宅へお迎えにあがります。
お客様指定のルートが記載された資料が会社に保管されていますので、確認します。
日勤のドライバーが始発で出勤しても、出庫時間に間に合わない場合は前泊することになります。
常に違うルートを2~3は頭に入れておく
首都高などは、突然事故などで指定のルートが使えない場合もあるので、違うルートも2~3つは頭に入れておく必要があります。
ハイヤーに乗るお客さんは、タクシーに乗るお客さんと違い遠回りしても文句は言いません。
極端な言い方をすると、料金のことは一切こだわりませんので、事故などでいつものルートが使えない場合は遠回りでも空いていて出来れば早く到着する快適なルートを選びます。
定期送迎「会食」
何もなければ帰りは逆ルートを走ればいいだけですが、会食などで立ち寄りすることもあります。
お客さんが飲んでいる間は、会食場所付近で待機します。
ハイヤーは「走る」というよりも「待つ」のが仕事と言われる代表的な仕事です。
ホテルやビルの駐車場で待機するのであれば、トイレにも自由に行けるので安心ですが、銀座や六本木の路上などで長時間待機する際はちょっと厄介です。
路上駐車場・通称「ねぎぼうず」に

出典:駐車新聞
トイレやコンビニに行くのに路上駐車は絶対にできません。
プロドライバーに取って、交通違反は命取りなので違反はしてはいけません。
特に確信犯となる「速度違反」と「駐車違反」は絶対にしてはいけません。
都内には駐車監視員(通称:みどり虫)さんがウヨウヨいます。
虫さん達は、我々を目の敵にしています。
路上待機中はなるべく水分をとらないようにしていますが、それでもお客様が2次会や3次会に行ってしまい、待機時間が長くなるとどうしてもトイレに行きたくなります。
駐車料金はハイヤー会社がお客様側に請求するので、自分はなるべく安い「ねぎぼうず」を探して停めることが多いです。
ハイヤーあるあるエピソード
近年は銀座や六本木で飲み歩く役員さんはかなり減ったようですが、それでも週に2~3回は会食に当たります。
会食の仕事は残業代が稼げるので有難いのですが、最初の頃は何時に終わるかわからないというのは不安もありました。
1度、22時閉店の和食店なのに23時回っても連絡もなく「おかしい」と思い、お店に行ってみると、とっくにお帰りになりましたとのこと...後で聞いてみると「ハイヤーで来てるの忘れて、タクシーで帰っちゃいました」なんてこともありました。
先輩方に聞いてみると、皆さん結構同じような経験があるようです。
ハイヤーに乗り慣れていないお客様の場合は、注意が必要です。